(2)磨けば光る家

木曽桧と漆 / 磨けば光る家 / 身の回りからの素材調達 / 地域の技術を生かす / 山と水の循環

 

 松本の平らにある本棟造りの家は、屋根の勾配といい、踏ん張りといい、日本の家屋の中でももっと

も誇れるものの一つです。戦前までは、職人たちが競い合って、そうした立派な家屋をつくったもので

した。

 現代の生活から考えると、そういう家はすきま風が入って、内も外もたいして変わらない、不便な家

かもしれません。最近では、「高気密・高断熱」が求められるようになってきました。しかしそれに伴

い、室内空気汚染(シックハウスともいわれます)が問題となっています。やはり人間は呼吸をして生

きている以上、空気がきれいでなければ健康は保たれません。朝起きてから長い時間を過ごし、眠りに

つく場所が人間に一番いい状態でなければいけません。

 健康のためには、木材や、他にも天然素材の製品をどのくらい多く使っているかが大事です。昔の家

は土壁で、それによって調湿性もありました。また障子には和紙が貼ってある。壁や床などの内装材に

は無垢材を使い、仕上げはできれば漆塗りで、漆でなくても渋や、また亜麻仁油などの植物性の油もあ

ります。それらを雑巾で拭いて磨き上げる。そういう、「磨けば光る家」であることが、「人間の住め

る家」なのではないでしょうか。

 新建材であるビニールクロスやPタイル、樹脂系塗料といった工業製品は、一定した成分・製法でつ

くるので、クレームはつきにくいですが変化もしません。どういう具合に製造したか、私たちには見る

こともできません。たとえ見てわかったとしても、肌に触れてみれば、合成繊維よりも、木綿の方が気

持ちがいいのです。人を包むより大きな器である建物にしても、工業製品を使わない方が「人間の住め

る家」により近づくと言えるでしょう。